
山下 直輝 (助教)
ナノトライボロジー特性評価
- 潤滑油に配合される添加剤はわずか数ナノメートル程の小さな分子であるが,金属表面に吸着膜や反応膜を形成して摺動部のトライボロジー特性に劇的な変化をもたらす.
- 原子間力顕微鏡を使った微小荷重下での摩擦測定によって,添加剤本来の摩擦特性を精密に評価するとともに,摩擦界面に形成される膜構造の観察や摩耗量の評価を同時に行う.
摩擦界面での膜構造評価
- 潤滑添加剤の性能を評価するためには摩擦測定だけでは不十分であり,潤滑油中における添加剤の形態から膜形成,およびその低摩擦発現機構までを解明していく必要がある.
- 赤外光やラマン散乱光の分光分析に加え,中性子線やX線を駆使することによって,摩擦界面に形成される膜の厚さや密度,化学組成について分析する.摩擦測定と分析を同時に実施するオペランド分析手法によって,膜形成に対するせん断や温度,周辺雰囲気の影響と,摩擦特性の関連について明らかにする.
金属表面状態と潤滑状態の関連評価
- 切削や圧延等の金属加工や,シビアな摩擦条件下では,表層の除去や摩耗の発生によって金属表面の状態は刻一刻と変化する.金属製品の表面仕上がりや精度の向上,および信頼できる機械システムの構築には,様々な表面状態における潤滑特性を予め調査して予測可能とする必要がある.
- 金属の組成や酸化膜の有無といった表面状態の制御に加え,潤滑油中の酸素や水分量を制御した環境下での摩擦測定や表面分析によって,添加剤の膜形成や潤滑性能について包括的な理解を目指す.
関連リンク
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